フィヴェの日記

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読書感想|「さみしい夜にはペンを持て」-20230827読了

 今回は「さみしい夜にはペンを持て」の感想を書きます。

 

・基本情報

題名:さみしい夜にはペンを持て

著:古賀史健 発行:2023年7月29日 発行所:ポプラ社

 

 

・簡単なあらすじ

 中学生の主人公タコジローは、ある日、公園で不思議なおじさんに出会う。おじさんから「書くこと」を教わった主人公の日々には変化が訪れる・・・・・・。

 

・感想

 この本は、初め目にした時は「自己啓発本なのに妙に表紙が綺麗だな」と思いました。私の知っている自己啓発本はシンプルな表紙なことが多いので、まるで小説のように凝ったイラストの表紙は新鮮に写りました。私は表紙が幻想的で素敵だと思い、この本に興味を持ちました。

 この本はイラストが効果的に用いられていると思います。私は表紙の秀麗さに惹かれてこの本を手に取りました。他にも、本の中で区切りの部分に見開きで絵があり、インパクトがありました。また、ページのいろいろな場所に挿絵があって、本の中で扱われている話が理解しやすかったです。

 

 主人公の名前からもわかるように、この本では登場人物が魚介類として登場します。私は初め、登場人物は人間だと思っていたので驚きました。

 読み始めた時は、「なんか合わないかも」と思いましたが、読み進める中でどんどん面白くなってきて、最後は駆け抜けるように読み終わりました。内容は全体的に学べることが多いのですが、少しも教訓めいた感じがなくて普通の小説を楽しむように読むことができました。一人称視点で、主人公に感情移入しやすいことと、対話しているパートが多く、自分もその場にいるかのように感じられることで、物語の没入感が高く面白かったです。ストーリーとしてはよくある成功物語かと思って読んでいましたが、意外なラストでした。

 

 

 1章から4章で特に印象に残ったことがあります。

 1章では、主人公は「書くこと」を知ります。主人公の悩みを解決するために「書くこと」が使われます。悩みの解決法として「書き出すと良い」と言われることがあります。この本では、悩みを書くことは計算式を書きながら解くことに似ている、という例え方をしています。また、書くことは話すことよりも疲れることには、熟考しているからだと書いてありました。口下手な主人公に、よく喋る人は「話すこと」と「思うこと」の距離が近く、逆が無口な人だという考えを話すシーンは意外な発想で驚きました。私もどちらかと言うと無口な方で、話すことを考えている間に周りは次の話題へ行ってしまうことが多く、悩んでいました。同じような悩みについて考えて、答えを出しているということに勇気づけられました。

 2章では、日記の書き方についてが印象に残りました。日記はその日の出来事の記録ではなくて、何を思ったかを書くものだと書かれていました。また、焦って表現の幅を狭めてしまうのではなく、ゆっくり時間をかけて文章化を試みることが大事だとしています。

 3章では、記憶が曖昧になってしまって思い出せない時についてが印象に残りました。思い出せない記憶は、ちょっとした部分から記憶の糸をたぐり寄せると良いらしいです。

 4章では、再び日記の書き方について印象に残りました。日記の文章はその日の出来事を等倍速で描くと、魅力的になるそうです。